ある会社の社長と専務の会話です。
「最近、スタッフのやる気が感じられないばかりか、私とスタッフとの間の溝が深まっているような気がするんだけど、何か感じることはないかな?」
「やっと気づいたんですか。みんな、社長に操られているみたいだ、と言っていますよ」
「私がやっていることは、会社のため。そして、それはみんなのためだよ」
「社長はいつも、みんなのため、と言っていますが、本当はすべて会社の利益のため。つまり社長自身のためじゃないですか」
「そうかもしれない。……しかしね、会社がなくなったら、困るのはみんなも同じじゃないか!」
「一番困るのは、…社長でしょ」
「そもそも、会社の業績が悪くても、きちんと給料を払っているんだから、感謝しながら働くのが当然じゃないのかな?」
「みんなの意識は、そうじゃありませんよ。わずかな給与で働いているばかりか、これだけ社長を立てているんだから、感謝してほしいと思っているんですよ」
上記は、「メンタリング・マネジメント-共感と信頼の人材育成術」(福島正伸著)からの引用です。
そして、著者がかつて社長として、専務と実際に交わした会話だそうです。
著者はこの会話をきっかけに、感謝することを見つけるように努力したそうです。
そうすると、感謝すべきことがいくつもあることに気づきました。
・朝、スタッフが会社に来てくれたら感謝
・電話を取ってくれたら感謝
・コピーを取ってくれたら感謝
・仕事を手伝ってくれたら感謝
・そもそも、こんな小さな会社で一緒に働いてくれるだけで感謝
毎日、感謝しながら仕事をしていると、ある日、一人のスタッフからこう言われたそうです。
「社長、今日もみんなのためにがんばってくださって、ありがとうございます」
本書には、こう書かれています。
自分の周りにいる人は、自分の鏡である。
相手がそうしているのは、自分がそうしてきたから。
相手が本気にならないのは、自分が本気になっていないから。
怒らないとやらないのは、怒ってやらせてきたから。
周りが助けてくれないのは、自分が周りを助けてこなかったから。
部下が上司を信頼しないのは、上司が部下を信頼してこなかったから。
他人を変えたければ、自分を変えればよい。
人を育てたければ、自分が育つ姿を見せることである。
私ももっともっと感謝することを見つけてみようと思います。