先日、大阪府中小企業診断協会で「セミナー講師養成講座 6日間完全マスターコース」という講座のうちの1日の講師を担当しました。
そこでお伝えしたことの一つが「教える」という行為の意味です。
こんな経験はありませんか?
社員や部下に教えたことが全然、相手に伝わっていなくて、あるいは相手が覚えていなくて、腹立たしく思ったことが。
これは実は当たり前の話です。
「学習のピラミッド」という理論があります。
これは、より能動的な学び方の方が学びが定着するという理論です。
もっとも学びが定着しないのが「講義を聞く」ことで定着度はわずか5%。
もっとも学びが定着するのが「他者に学んだことを教える」ことで、定着度は90%です。
教えた自分は覚えているのに、相手は覚えていないというのは、人間の心理通りのもっともな話なのです。
ではどうするか?
相手に教えさせればいいのです。
学んだことを発表させると最初から伝えておく。
そうすると聞くときの真剣味も増すでしょう。
では、この理論をどう活用するか?
たとえば、マニュアル作成に活用できます。
後輩や部下には口頭で教え、後輩や部下にメモさせて、マニュアルを作ってもらい、内容を発表させるのです。
マニュアル作成と教育が同時にできます。
作成したマニュアル内容を発表してもらうことで、相手の理解度の確認もできます。
上司や先輩は通常、さまざまな業務で忙しいものです。
忙しいあなたがマニュアルを作成する必要はないのです。
また、教えるというのは、「自己有能感を満たす」行為でもあります。
自己有能感は、自己重要感、自己好感とともに「自尊心の3大欲求」の一つです。
平たくいうと、教えて喜ばれることで、自分は役に立つと感じられ、自尊心が満たされるということです。
教える機会を用意することで、後輩や部下のモチベーションアップの機会にすることもできます。
逆に、自分が教えるときは、「自己有能感を満たしたい」がための教え方になっていないか。
相手のレベル感を考えずに、自分の知っていることを何でも伝えてしまっていないか。
客観視することも必要ですね。