金融庁「金融行政の方針」は、経営理念重視と心理的安全性の確保

金融庁に、どんなイメージを持っていますか?

2か月ほど前に「老後2,000万円」問題で、注目された一件を覚えておられる方も多いかもしれません。

 

その金融庁から、本日、「金融行政の方針」が発表されました。

 

「金融行政の方針」なんて、難しそう…。

それに、自分には関係なさそう…。そんなふうに思われたかもしれません。

 

ただ、今回の方針はなかなか画期的なのです。

 

たとえば、掲げている方針の一つが「金融庁の改革」。

しかもその内容が「金融庁が、職員にとってやりがいを感じ、自身の成長を実感できる職場となる」です。

 

「メンバーがやりがいを感じ、自身の成長を実感できる職場づくり」。

これは、どんな組織であっても共通する、普遍的な課題ですよね。

 

これだけでも金融庁が少し身近に感じられます。

 

さらには、金融庁が監督指導すべき相手、つまり金融機関に対して求めることの一つがなんと

明確な経営理念」と顧客の「経営理念の理解」です。

 

「金融行政のこれまでの実践と今後の方針(令和元事務年度)について
「金融行政のこれまでの実践と今後の方針(令和元事務年度)について
(出典:「金融行政のこれまでの実践と今後の方針(令和元事務年度)について」 重点施策の概要 p.14-15)

 

「理念なき経済は犯罪、経済なき理念は寝言」という言葉があります。


いかに稼ぐか(=経営戦略)以前に、何を目的に事業運営するか(=経営理念)をまずは明確にしなさい。

顧客の経営理念についても理解しなさい、ということです。

 

その上で、金融庁と金融機関の関係としては「心理的安全性の確保による闊達な議論の促進」を掲げています。

なかなか斬新なのではないでしょうか。


なお「心理的安全性」とは、メンバーが何か言ったときに、叱られない、責められない、馬鹿にされないと思える、

安心して発言できる場の雰囲気のことを言います。


何か発言したら、責められる、叱られる、馬鹿にされると思ったら、誰も何も言いたくなくなりますよね。
そんな組織で前向きな提案が出されたり、建設的な議論ができるかというと、なかなか難しいでしょう。


心理的安全性は、組織が成果を出すための前提条件です。


日本キャッシュフローコーチ協会ではこれを「安心・安全・ポジティブな場づくり」、略して「AAP」と言っています。


自社は果たして、AAPな組織なのか。
もっとAAPにするためにはどんなことができるのか。


「金融行政の方針」をきっかけに自社についても考えてみてはいかがでしょうか。

「金融行政のこれまでの実践と今後の方針(令和元事務年度)について」重点施策の概要
https://www.fsa.go.jp/news/r1/190828_overview_the_policy_agenda.pdf